ぼくのヒーロー

ぼくのヒーローはニンニクが大好きです
俺様は吸血鬼だと言ってる割りに
プロフィールの好きな食べ物の項目には 
 
ニ ン ニ ク 
 
満面の笑みを浮かべながら書きます
コイツ本当に吸血鬼なのかと疑ってしまったので
試しに十字架を見せてやりました
「気持ち悪いなぁ」
このとき初めて 彼が吸血鬼らしく見えたのですが
「だめなんだよ 
この交差しているところがどうもいまいちなんだ」
と 
気に入らない部分は別にあったようです
おまえ吸血鬼じゃないだろう!
って目の前で言ってやったのですが
俺は吸血鬼だ! 
の一点張りでなかなか本当の事を言おうとしないので
何で十字架が大丈夫なんだ?と訊ねると
小学校の算数の時間に
嫌になるくらい見せられて慣れてしまったそうで
何でニンニクが大丈夫なんだ?と訊ねると
修行時代のバイト先のイタリアンレストランの店で
知らず知らずのうちに慣れてしまったそうで
こんなのぼくが知ってるヒーローじゃないよ!
と言ったら
吸血鬼は下を向いてしょげ込んでしまいました
「何回その言葉言われただろうな…
俺様は吸血鬼の家系に生まれたのに
家族からも お前は変だって言われるし
学校の先生には 
このままでは将来が危ぶまれますって言われるし
俺はどうしたらいいんだ…!」
そう吸血鬼が叫んだ時 ぼくははっとしました
 
ぼくも
お前は魔法使いの家系に生まれておきながら 
魔法が下手だな
お前の魔法は トースターにも及ばん
魔法の出来ない魔法使いって何するんだ?
ぼくはふてくされて 
魔法なんか使ってやるもんかと思い
毎日先生の教卓で不貞寝をしてやりました
 
ぼくは 自分がこんなのだから
仲間はずれにされて 親にも見捨てられて
あげ句の果てには あいつは能無しのヤカンだ
と村から追い出され 
 
だからヒーローが欲しくて 吸血鬼に出会った
でもヒーローは いっぱい努力をして
そのせいでニンニクが好きになり 
十字架には慣れてしまい
変人扱いされて 誰からも相手にされなくなった
ぼくは ただ自堕落な生活をして
ゴミ扱いされて 誰からも見捨てられるようになった
 
吸血鬼は 
そんなぼくの為にヒーローになってくれると言った
お前と俺様は似てると言ってたけれど
ぼくは一時でも
魔法が使えるようになろうと
努力した事があっただろうか
ぼくは彼を見習わなくてはならない
そうして 
今度は彼を助けてやらなくてはならないと思い
ごめんと言おうとしたその時には
もう吸血鬼はどこにもいませんでした